。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
*一結Side*
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.。*†*。. 一結Side .。*†*。.
夜の十一時を過ぎた頃だった。郊外にある一軒家風の洒落たフランス料理のレストランで、上品なデザート、オレンジとパイナップルのソルベをスプーンですくって口に入れた。
ひんやり冷たい感触が口の中で解ける。
一通りのフルコースを食して、一番おいしかったのがデザートってどうなの…
「シャンパンのお代わりはどうかな?」
と、食事の相手―――向かい側に座った、嫌味ったらしい白いジャケットを羽織った男が笑顔で聞いてきた。
自分で爽やかだと思っているのかキメキメ笑顔であたしに笑いかけるも、その笑顔は下心が透け透け。
「いえ、結構です。少し酔っちゃったみたいで」
なんてしおらしく俯くと、男は更に調子に乗って、
「それはいけないね。どこかで休んで行こうか」と、あたしの返事を聞かずにボーイを呼んでチェックを頼んでいる。
ってかまだ食べてるんですけど。まぁでも値段の割りには大した味じゃなかった。
しかもこいつのどうでもいい自慢話ばかり延々話されて、こっちはうんざり。
「行きつけ」なんて大層なことを言って誘ってきたから、もっと豪華でおいしいものを想像してたけど。
これだったら一人でマックの方がよっぽど良かったわよ。
相手は三十後半の人気俳優で、ドラマや映画にひっぱりだこの、今もっとも売れてる男。
世間ではイケメン俳優なんて騒がれてるけど、はっきり言ってタイプじゃない。
ちなみに独身。
かなり派手に遊んでるって噂だけどね。
この男とつい一日程前まで、接点はなかった。清涼飲料水のCMで共演するオファーが来て、マネージャーと挨拶に行ったら目を付けられた。
「実は君のほかに似たようなタイプで数人候補があがってるんだ。共演相手は僕ともっとも気が合う女性を、と言うことをスポンサーに言われててね」
駐車場へと促しながら、男は得意げに言ってあたしの肩をさらりと抱き寄せてきた。