。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ドキっ!
あたしの心臓がまたも大きく跳ね上がり、
豪華スウィートホテルの夜景が、神社でキモ試しに化けても―――こっちの方が
あたしにはやっぱり断然いい。
響輔と一緒なら。
しかも響輔の手はあったかくてさらりと心地が良くて、あの手のひらからも下心が伝わってくるねっとりとしたあの男とは―――全然違う。
手を繋ぎあって、鳥居をくぐりながら、
「ねぇあんた何か食べてきた?」と聞いてみた。
「俺?まだ何も」
「そうなの?じゃぁこのあとどこかで何か食べない?」
「あんたさっきあのフランス料理の店で食ってきたんやないの?意外に大食漢やね」
「味なんて全然分からなかったわよ。てか大食漢て!失礼じゃない!!あんたは見るからに食が細そうよね。
あたしはがっつりたくさん食べる人が好きなの。
ついで言うとさっきの俳優みたいなあんな年上のおっさんよりも、ふわふわ可愛い年下系が好き」
「それって戒さんのこと?」
響輔が立ち止まり、あたしも思わず立ち止まった。
さっきまで普通だったのに、今はちょっと不機嫌そうだ。
何よ、まさかちょっとヤキモチ??
「ま、まぁあくまでタイプってこと」あたしはわざと意地悪く言ってやると、
「戒さんは無理やで。何せあの人はお嬢って言う正妻に、三人の愛人、それから大阪に現地妻がおる身やからな。
それから俺」
正妻に、愛人に……現地妻…?それから―――俺??
どこまで本気なのか分からなくて、あたしは額を覆った。(←どれもある意味間違ってはいない)
「最後のはどういう意味よ」
「龍崎組では俺と戒さんがデキてるて設定になってる」
「な……にそれ…」
面白すぎる!!!
「で?ホントのところは?」
「あるわけないやろ。たとえ俺がそっちの趣味でも、戒さんだけはない」
きっぱり言い切って、響輔はあたしの手を引いた。