。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
―――安っぽい女―――……
「何だ…あんたやっぱさっきの会話聞いてたんじゃない……
それにあの業界では別に珍しいことじゃないわ。名前を売るために必要なことだし、仕事の一環よ」
「ふーん。随分ストイックなんやね」
響輔はちょっとだけ意地悪そうに笑って、それにムカっ腹が立った。
「ってか手!手、そのままで言う!?説得力ゼロ!」
響輔の手のひらは依然あたしの胸を捉えている。
響輔は気にした様子がないようにまったく表情を変えずに、だけど手は離れていこうとしない。
「そら、まぁね。俺かて男やし」
と素直に頷く。正直過ぎるわよ。
でもあたし、響輔のこう言う飾らないところが好き。変にかっこつけないところとか、いつも自然体のところとか……
騙して騙されて、押して引いて―――いっつも演技をしているような生活に疲れ切ってたのかもしれない。
「あんたってもっとストイックなのかと思った」
ドキドキと高鳴る心臓を宥めるようにあたしが意地悪を返すと、響輔は目を伏せて口元に涼しい笑みを浮かべた。
「そりゃお嬢に触りたい、他の女は要らへん思うけど―――
でも時々………
どうしようもなく、寂しなったり疲れたりすることもある。
お嬢が好きなんは
戒さんやから―――」
寂しそうな、悲しそうな―――、一言で言い表せないほど響輔は瞳を切なく揺らして、
響輔の手のひらがあたしの胸元からゆっくりと離れていく。
こいつはいつだって素直で―――自分を飾らない。
あたしはこいつのこうゆうところが
好き。
あたしはその手を慌てて、引き戻すように両手で握った。