。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
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結局その後は多くを語ることなく、それでも響輔は律儀にあたしの宿泊しているホテルへと送ってくれた。
シャドンファントムの、今度は響輔の前ではなく背中の後ろであたしもバイクに跨って、ひたすらにぎゅっと響輔にしがみついた。
キスについて何か言ってほしかったけれど、一方で拒絶の言葉を聞かされると想像すると―――怖かった。
「悪いな。ガンファイターシートやから、乗り心地悪かったやろ」
地下のエントランスホールの入り口にバイクを止めて、あたしは降り立った。
「ううん、大丈夫。送ってくれてありがと」
いつになく素直になれるのは、さっき告白をしてしまったからだろうか。
まさかあのタイミングで言うとは思わなかった。自分自身が驚きで、正直戸惑っている。
響輔はあたしの気持ちに対して、結局何も答えなかった。
それが歯がゆい。
響輔から貰ったテディがくっついているバッグのハンドルをぎゅっと握ると、
「あの、さっきの…」
と言いかけたが、それを遮るかのように響輔がずいと手を差し出してきた。
「…な、何…」
響輔の握られた手の下にあたしの手のひらを差し出すと、
「あんたにプレゼントや」
ぽとり、と手のひらに落とされたのは単三電池よりもちょっと長いが、それよりも細い……
―――弾丸だった。