。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
は―――…?
「…言ってる意味が分からないんだけど…」
「ハッキングだよ。ケータイ同士の赤外線を使って情報を盗まれたんだ」
「盗まれたって、いつ。誰によ。
つい数時間前までは普通に使えたわよ。それにケータイなんて肌身離さず持ってるわけだし」
「赤外線通信でハッキングする場合、ケータイ自体を持ち去る必要はない。ケータイを改造する腕があれば最大三十センチ程の感覚で情報を盗むことができる。
君がこの数時間にコンタクトを取った人間だ」
玄蛇は探るように目を上げ―――しかし、その目はその答えを知っているようだった。
数時間前―――……
あたしは目を開いて、口元に手を当てた。
「響輔―――」
玄蛇は呆れたようにため息をつき、
「そういうことだ。君が響輔と“仲良く”している頃、情報はどんどん流れていたわけだ。
ただ盗み出すときにミスを犯したようだな。ハッキングする際に生じる赤外線電磁波の計算を誤ったみたいだ」
そんな―――……
あたしを人気の居ない神社に誘ったのも―――…
いいえ、それこそが最大の目的ね。玄蛇の説明によると他人が居る場合その者の情報も取り込んでしまう可能性があるから。
あたしは額を押さえた。
やっぱり響輔が会いにきたのは―――単なる「お喋り」目的だけじゃなかった。