。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


「遅かったな~」


キョウスケは風呂後なのか濡れた髪のまま首にタオルをぶら下げていた。


虚ろな目であたしと戒を交互に見ると、


バタッ!


突如その場で倒れた。


「おい!どうした!!おめぇ大丈夫かよ!」


キョウスケはまるで死んだ蛙のようにぐったりと両手両足を投げ出し、


「…あ、あの女…分けわからん」


消え入りそうな声でわなわなと呟く。その横顔がげっそりとやつれて見えた。


いや…分けわかんねぇのはあたしの方で…


戒は何があったのか大方予想できているようで苦笑を漏らしてる。


とりあえずあたしは倒れているキョウスケを引っ張って部屋に招き入れると、ドアを閉めてきっちり鍵を掛けた。


「大丈夫か?おめぇ何があったんだよ」


改めてキョウスケに問いかけると、キョウスケははっとなったように顔を上げてむくりと起き上がった。


「大丈夫です。ちょっと取り乱していたようでござる」


取り乱して……


てか『ござる』って!今も十分取り乱してるじゃねぇかよ!


もうどこをどう突っ込んでいいのか分からず、思い切り不審そうにしているあたしの隣でキョウスケはマイペースにノートパソコンを立ち上げている。


キョウスケ……一体何があったんだよ。と不審そうにしてるあたしと反対に


戒はいつも通りの態度であたしの隣に回りこんできて、キョウスケはさらに自分のケータイも取り出し何やら操っている。


「うまく行ったようだな」


戒が満足げに言って、キョウスケは小さく頷いた。


うまく行ったって何が??






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