。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
うさぎを投げられて負傷(?)中の戒よりも、あたしは完全に壊れてるキョウスケの方が気になった。
「んで、どうするんだよ…お前は?付き合うのか?」
だってキョウスケはイチのこと好きそうじゃないし。
そもそもキョウスケの想像する通り罠かもしれない。
「まだ分かりません。でも付き合うことにしたら計画を中止にするって―――
それはすなわち殺す計画を取りやめにするってことですよね」
キョウスケはあたしの方を見ずに、床の一点を見つめて真剣に言った。
キョウスケ―――
しとしと…
しんと静まりかえった部屋の外で、雨の音が小さく聞こえてきた。
「あれ……今夜は晴れるって言うてたのに…」
と、当の本人キョウスケが一番最初に気付いて全然的外れな言葉をぽつりと漏らす。
その言葉でぼんやりとカーテンの隙間から外を見上げると、さっきまで雲ひとつなかったからりとした空がいつの間にか、薄雲に覆われていた。
まるであたしたちの今の状況を現しているみたいだ。
あたしはキョウスケになんて答えればいいのか分からなかった。
リコの気持ちだって知ってるし―――
でも、そんなの抜きにして……やっぱり…
「「やめておけよ」」
あたしと戒の声が重なって、あたしたち二人が顔を見合わせ、同時にキョウスケも顔を上げた。
戒は苛々と前髪を掻き揚げながら、
「そんなん身売りやないか。どこぞの風俗売り飛ばされる女と一緒やで。
俺はそんなことしてもらってまで生き永らえたない」
戒のまっすぐ過ぎる言葉にあたしも同感だった。
「あたしも戒と同じ意見。キョウスケがイチのこと好きだったら止めないよ。でも好きでもないのに付き合うのは、二人にとって良くないし」
そんなの辛いだけだ―――
恋愛してるなんて言えない。