。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
考えたらバカらしいよな。
そんな脈絡もない夢。
第一なんであの女が伝説の不死鳥―――“朱雀”なんだ??
ってか、そもそもあれは朱雀なのだろうか…
そう思ったけれど、何か心配で……
怖い夢見たから、とかあたしはガキかよ。って思わず自分に突っ込んじまったが、
でもここまで来て引き返すのはなぁ…それこそあたし何やってんだよって話だよな。
キョウスケ…さっき壊れかけてたし、もしかして落ち込んで眠れなかったりしてないかな??
何にも考えて無さそうだけど、ああ見えて結構考え込む方だし…
と心配そうにそっと襖を開けると、部屋の中央に敷いた布団の上でキョウスケは仰向けになってぐっすり眠っていた。
この暑い中きっちりと口元まで布団を引き上げて、扇風機の送風を浴びながらすやすや寝息を立てている。
心配して損した。
大丈夫そうじゃん。
そう思って今度こそ引き返そうとしたときだった。
「……お嬢…?」
キョウスケがうっすらと目を開いて布団からちょっと手を出すと、あたしを見上げてきた。
戒と違ってこっちはいくらか神経質そうだから、ちょっとの物音でも起きちまうみたいだ。
「…ごめん、起こしちまった?」
おずおずと聞くと、
「いえ…大丈夫です…」と目をこすりながらむくりと起き上がる。
「や!いいよ!!そのまま寝てて!!起こしてまで話すことじゃないし」
慌てて言うと、
「いえ…大丈夫です…」
またもかすれた声で目をこすりながらキョウスケはあくびを漏らした。