。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
キョウスケが目をまばたいて、あたしの手をそっと握る。
びっくりして今度はあたしが目をぱちぱち。
だけどキョウスケはすぐに手を離して、
「大丈夫です」
と言ってちょっと身を引いた。
「あんま無防備に近づかんといてください。俺は―――
俺は簡単にあなたを黙らせることができる」
灯りを点けていない部屋で、キョウスケの黒い瞳の奥でキラリと光を帯びた気がした。
それはキョウスケなりの忠告なのだろう。
自分への―――……戒め(イマシメ)。
キョウスケが好きなのは、今も前も変わらず―――
あたしは俯いて、目を伏せた。
あたしが無神経過ぎた…
「……ごめん」
小さく謝ると、キョウスケはふっと頬を緩めた。
「すみません、冗談です」
―――冗談…?
ってかその顔で冗談とか。
「で、実際のところどうしたんですか?あなたがこの夜更けに俺の部屋に尋ねてくるなんて、よっぽどの何かあったんでしょう?」
そう聞かれて、あたしは顔を上げた。