。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「戒さんと喧嘩でもしました?」
あたしはキョウスケの質問に首を横に振った。
ちっ
キョウスケが小さく舌打ちをして、
「喧嘩してお嬢が戒さんを嫌いになればいいのに」
キョウスケ……やっぱ壊れたまま戻ってねぇな…
「な、なぁ。さっきのイチとのことだけど…」
あたしがおずおずと言うとキョウスケは無表情にあたしを見据え返してきた。
「お前、イチと付き合うことちょっと考えてんだろ?」
あたしの言葉にキョウスケは目をまばたいて、やがてふいと視線を逸らした。
「まだ深くは……」
「深くはってことはちょっとは考えたってことだろ?」
あたしはキョウスケの前に回りこむと、真正面からキョウスケを見つめた。
キョウスケが驚いたように僅かに身を引いたけど、あたしは構わずに続けた。
「や、やっぱり無理はよくないって言うか。そりゃお前があたしたちの心配をしてくれるのは分かるけど、
イチの思うまま付き合うのは良くないよ。
お前の気持ちを犠牲にしてまで、やっぱりあたしは生きていたくないって言うか。
タマ(命)狙われてるってのは分かってるけど、でもあたしたちが団結すれば何とかなるよ!
お前はお前の思うとおり―――いくのがいいと思う」
あたしはキョウスケの顔を真正面から見つめて、真剣に言い放った。
さっきの不死鳥と鷹の姿が気になった。
単なる夢だけど、だけどどうしても不吉な予感が払拭できない。
イチがキョウスケに何かするかもしれない。
だけど
あたしがキョウスケを守る。
イチには手を出させない。
たとえどんなことになっても―――
あたしの大切な人を誰一人として傷つけさせたりしない。