。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
立てひざを突いて、膝の上で頬杖をついていたキョウスケは手を退けると、
「俺の好きなように―――?」
と聞いてきた。
「……うん」
あたしが頷くと、
キョウスケの手がゆっくりと伸びてきた。
勢いがなかったし怖くはなかったから、あたしはそれを避けることはなかった。
思えばキョウスケはあたしが嫌がることを一度もしたことない。
キョウスケはあたしの頭の後ろに手を伸ばすと、
ぎゅっ
突如あたしを抱き寄せてきた。
へ…!?
「俺が求めてやまないのは―――
お嬢や。
好きなようにして良い言うんなら、
俺はまだあなたを想っててええですか」
戒より僅かにかすれた低い声が切なげに揺れていた。シトラスの香りが鼻腔をくすぐってふわりと柔軟剤の香りが香ってくる。
キョウスケに抱きしめられたのは―――これで二回目だった。
一回目のときはカラオケのとき……
トクン、トクン…
キョウスケの鼓動が伝わってくる。
あのときと同じ心臓の音。あのときと同じ体温。