。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「「はぁ~~…何とか助かった…」」
二人してほっと息をつく。
あたしもキョウスケも、タクの登場にびっくりし過ぎて急には起き上がれない状態みたい。
ぐったりと布団の上に寝転んで、揃って天井を見上げた。
「でもおめぇ咄嗟のことと言え、うまく言い訳したな」
あたしは半ば呆れながらキョウスケの横顔をちらりと見た。
「まぁ男なら誰だってあるオトコの事情ってヤツですよ」
とキョウスケは気の無い返事を返してきたが、さすがに申し訳なさそうに
「すんません」と謝ってきた。
「いや……いいけどよ…」
結果、タクを追い払うことができたわけだからな。
でも戒ならともかく、キョウスケの口からあんな言葉が飛び出るとは思ってもみなかった。
まぁ考えたらこいつだって男で……
ってかその男と一つの布団で隣同士ってヤバくない!?
しかも話してた内容が内容だけに、ちょっと居づらい。
あたしは慌てて起き上がろうとしたが、キョウスケがそれを阻んだ。
ぐいっ
「わ!」
不意打ちに腕を引っ張られて、あたしは敷布団の上に逆戻り。
あたしの手を引いたキョウスケ自身も驚いたように目を開き、慌ててあたしから手を退ける。
「すんません」
もう一度謝って、切なそうに眉を寄せたキョウスケを見て、
チクリ
とあたしの心臓が小さな痛みを発した。