。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
お化け!?
◆ お化け!? ◆
「お前、謝ってばっか。謝られるより『ありがとう』の方がいいよ」
ちょっと笑うと、キョウスケはほっとしたように頬を緩めた。
横を向いているあたしと向き合うかのようにキョウスケもごろりと寝返りを打ってこっちに顔を向けた。
「おおきに。
逃げんでくれて」
あたしの頬にそっと手を這わせて、キョウスケがうっすらと微笑を漏らした。
キョウスケの手はやっぱり優しくて―――…こいつも戒や叔父貴と同じ男だって言うのに、
やっぱり恐怖は涌いてこなかった。
キョウスケは何をしてくると言うわけではなく、あたしの頬や髪をただ撫でるだけ。
口元に淡い笑みを浮かべながら、それは宝物を見るような優しい目つきだった。
戒や叔父貴―――それから雪斗が見せる『男の視線』とは種類が違う―――
あったかい手。
その手に撫でられると、何でも素直に話せる気がした。
「あのね…キョウスケ……」
テレビから流れている旅行記。きれいなお姉さんがどこか外国の町並みを歩きながらレポートしている。
その声にかき消されないよう、あたしはキョウスケをまっすぐに見つめて口を開いた。