。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



あたしは夢の話を聞かせた。


その夢の話を聞いてる最中、キョウスケは笑い飛ばしたりして流したりせずに、じっとあたしの目を見たまま小さく相槌を打っていた。


話し終えてから、


「…変だよな。ってかこんなくだらないことで起こしちまってごめん」


「謝らんといてください。


俺を心配してくれはったんでしょう?」


キョウスケの手があたしの髪を撫でて、あたしはくすぐったそうに身をよじった。


キョウスケはあたしの髪を撫でながら、少しだけ表情を引き締めると口を開いた。


「夢というのは、主としてレム睡眠の時に出現するとされて、睡眠中は感覚遮断に近い状態なんです。


記憶に関係のある辺縁系の活動水準が覚醒時にほぼ近い水準にあるため、


外的あるいは内的な刺激と関連する興奮によって、脳の記憶貯蔵庫から過去の記憶映像が再生され、記憶映像に合致する夢のストーリーをつくっていくんです」



………






「……ごめん。おバカなあたしにでも分かりやすく、もっと簡単に説明して?」





恥ずかしそうに見ると、キョウスケはふっと口元で笑った。


「つまりはお嬢がどこかで見た過去の映像を元に、またそれが心理的不安要素と繋がってそんな不可思議な夢を見せたってことです。


お嬢は無意識のうちに重要な何かを目撃している可能性があります」


キョウスケは再び口元を引き締めると、あたしを真剣に覗き込んできた。


重要な何か……


「いや…おめぇがそこまで真剣に考えてくれるのはありがたいけどよ、あたしそんな重要な何かを見た覚えはないぞ?」


慌てて手を振るも、


じゃらっ


脳の奥でまたあの音が響いた。


キョウスケにそう言われたから、思い込んでるかもしれないけど、





あの紅い数珠……



かごめの歌




神社で見た―――鳳凰の―――置物…―――








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