。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
あ、あたし鈍感だし幽霊なんて一度も見たことないし、もちろん霊感なんてない!と思ってたが…
「ど、どーしよぉ」
怖くてぎゅっとキョウスケの袖を握ると、
「そう決まったわけじゃありませんよ」
とキョウスケが宥めるようにあたしの頭を撫でる。
「とにかく確認…」
とキョウスケが言いかけたときだった。
「キョウスケ~終わったかぁ??お前にいいDVDを…」
部屋に引っ込んだと思ったタクが、満面の笑みを浮かべて予告もなしに襖を開いた。
―――は!!!!?
タクの思わぬ登場に、あたしたちは隠れることも忘れてその場で固まった。
ってかこの状況は最悪にマズい!!
若い男女が(一応服着てるけど)布団の中で一緒!
「は……?」
タクは笑顔を変な風に引きつらせてその場で固まっている。
やがて、目を見開いたままタクは震える指であたしを指差し、
「…おじょっっ!!!?」
“お嬢”と最後まで言い切らないうちに
「ちっ」
キョウスケが舌打ちをしながら布団から飛び上がり体を沈めた。
腰を低めて床に両手をつくと、タクの足元めがけて足払いをする。
その間、数秒。
あまりの速さにタクが何も声を出せず…ってか、まさかキョウスケにそんなことされると思ってなかったんだろうな。
足を払われてあっけなく床に倒れた。
さらにキョウスケは倒れたタクの口元を塞ぐように手で口元を覆い、タクの後ろ側に回り込んだ。