。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「どうされやした?」
マサは眠そうに目をこすりながらも、のっそりと布団から起き上がってきた。
「…あ、あのさ!今晩一緒に寝て」
そうお願いすると、
「雷は鳴ってねぇですよ?怖い夢でも見ましたか?」
マサはちょっと笑った。
「……うん、まぁそんなとこ…」
曖昧に頷いて、それでもマサは深く突っ込まずにあたしを布団に招き入れてくれる。
「マクラも一緒にいい?」
「マクラ…ってそのあざらしですかい」
「…うん」
呆れられるかな~と思ったけど、マサは僅かに微笑んで、
「お嬢はいつまでたっても子供みたいで可愛いですね」
と言いながらあたしに布団を被せてくれる。
「それはマサがあたしのオヤジみたいだからだろ?」
「まぁそうっすね。娘はいつまで経っても可愛い」
―――そう。マサはあたしをホントの娘みたいにいつも可愛がってくれる。
あたしもマサを親父みたいに思ってる。
マサはここに居る誰よりも―――安全だ。
あれ…でも、この感覚――――…似たようなあったかい感覚……
そっか…あれはキョウスケだ。キョウスケの感覚にひどく似ている。
あいつは男って言うより、兄貴って感じだから。
「だけど今年で17になる娘が、親父と一緒てのはね。俺としては嬉しい限りですが」
マサは眠そうに言って僅かに口を緩める。