。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「これ、おいしいわね」
キリはピザのひとかけらを口に入れながら、色っぽく唇を舌でなぞった。
一ヶ月ほど前に会長の部屋でとった店のものだ。確かあの時はお嬢も居た。(ちなみに会長は俺の目の前でお嬢と喧嘩中だった)←ってそんな情報どうでもいい。
『お前も女と会うとき利用するといい』
なんて言ってた会長の言葉をふと思い出して、取り寄せたんだが。
俺も歳だな。そう何枚も食えるわけもなく、早々に手が止まっていると、
「あら、もう食べないの?」とキリはマイペースに食事を続けていた。
年齢の差か??小柄なのに結構食う。
「食べて体力温存しておかないと♪」
キリは楽しそうに言って、油がついた指を舐めていたが、俺はこのときの意味が分からなかった。
目の前のワイドテレビには映画が映し出されている。
照明を落として部屋を薄暗くしてるのは、映画を観るためだ。
しかも映画は『ゴッドファーザー』
ベタ過ぎるぜ。(※マフィアのお話です♪)
まぁ『極妻』や『仁義なき戦い』じゃないだけましか。
映画は流してるものの、キリはあまり真剣に観る気がないのか部屋をきょろきょろと眺めている。
「あなたの部屋に入ったのはじめて。きれいにしてあるのね」
「まぁな。俺も女を入れたのははじめてだ」
「あら、そう♪私がはじめてってわけね」
キリは楽しそうに言って目を細めると、ソファの上に乗せていた俺の腕を指先でそっとなぞった。
女は好きだな。“初”って言葉が。
エアコンが効いてるとは言え、ワイシャツは腕まくりをしてあってじかにキリの指先の体温を感じる。
キリもスーツの上着を脱いでいて、ノースリーブの黒いカットソー姿。白い二の腕や豊かな胸元が露になっていて、随分と色っぽい雰囲気だ。
映画の内容がテレビから流れているのを聞きながら、だけど映画そっちのけで俺たちはしばらく無言で見つめあうと、
自然顔を近づけて
口付けを交わした。