。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「お前でも結婚なんて考えるのか?」
俺は何となく聞いてみた。こいつから“結婚”という言葉を聞いたのがはじめてだったから。てか、こいついくつだっけ。
見た感じ三十ぐらいな気がするが。仕事面では俺が居なくても留守を守れるほどしっかりしているし、
だけど妙に若々しいときもある。
「黙って。つまらないこと言う男は嫌いよ」
キリは薄く笑うと、俺のネクタイに指を掛け乱暴に解いた。
「気になったから聞いてみただけだ」
「黙ってよ」
キリが乱暴に俺の顔を引き寄せると、またも情熱的なキスをされる。
キスをしたままそのまま、また胸を強く押されると予想のつかない行動に俺は思わず後ろによろけた。
運良く(?)そこはベッドの上で、俺がキリを見上げるとすぐに彼女は俺の上に乗ってきて、乱暴と言える仕草で俺の肩をベッドに押し付ける。
「翔」
俺のワイシャツのボタンを外しながらキリがにっこり聞いてきた。
何だよ、その笑顔は。今度は何企んでやがる。
不審そうにキリを見上げるも、次々とボタンを外して俺の素肌に手を這わせてくるキリに悪い気はしなかった。
「あなた女を連れ込んだことはないって言ったわよね?」
念押しされるように聞かれて、俺は無言で頷いた。
本当のことだ。
「だったらこれは何?」
キリが背中に隠し持っていたであろう、“何か”を俺の前にぶらさげて意地悪そうに聞いてくる。
キリが手にぶらさげていたもの―――
それは
紫色のツルツルした生地に黒いレースをあしらった
ブラだった。