。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
家に帰りつくとキリはちゃんと部屋に居た。
元々仕事人間だから、いくら休みを貰ったからと言ってもただぼんやりとしているのが性に合わないらしい。リビングにパソコンやら資料のファイルやらをたくさん広げていた。
「あら、お帰りなさい“部長”。早かったのね」
目をぱちぱちさせながら俺を見てくるのは、会社と変わらずいつも通り事務的なものだった。
だが
怯むな翔!ここで隙を見せたら負ける!
「昨夜のリベンジだ!キリ!!お前をぎゃふんと言わせてやる」
俺がビシっと指差すと、
「“ぎゃふん”って死語じゃない?でも。望むところよ」
キリはふんと鼻で笑いながら立ち上がり、会社仕様から一転、ドS女王丸出しのエロい笑顔で腕を組み胸を逸らした。
―――結果…
またも俺の負け。
風呂からあがってバスローブ一枚で、ソファに力なく項垂れていると、冷やしたビールの缶を頬に当てられた。
「若くないんだから無理は良くないわよ♪」
と、こちらも風呂上りのキャミソールにジーンズと言う姿で、キリはにこにこ。
「お前は何でそんなに元気なんだよ」
「若いから♪」と言ってキッチンに向かう。
何をするのか気になったがそれを問いかける余裕もなく、キリから貰ったビールのプルタブを開ける。
「晩御飯作るわ。“動いたら”おなかすいちゃったし」
「お前料理できるのか?」
疑わしそうな目つきでキリの姿を目で追っていると、
「酷い言われようね」
キリは機嫌悪そうに包丁を取り出した。