。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
その姿を目にしても
ドッキンこ!
あたしの心臓が口から飛び出ると思ったぐらいびっくりした。
「あ、あはは~…お前のお陰だ。大事に至らなくて良かったよ」
「暗示が効いたかな」
「ってかおめぇ催眠術なんて使えねぇだろ!」
あたしが思わず突っ込むと、キョウスケはやんわりと微笑んだ。
ドキン…
また今度は…違った意味で心臓が跳ねる。
「お、お前も食う?小倉トーストと赤だし味噌汁」
慌てて言うと、
「いえ、トーストとコーヒーだけでいいです」
とキョウスケが少し顔を伏せる。
戒と違って朝食を食うキョウスケは、それでもタクみたいにたくさん食うわけじゃない。
若干げんなりした様子でコンロの上の鍋を覗いている。
「赤味噌の匂いって結構強烈ですね。妊婦さんの気持ちがちょっと分かった気が」
なんて相変わらずマイペース。
そのTシャツの裾が少しだけめくりあがっていてキョウスケの引き締まった細い腰を目に入れて、あたしは慌てて視線を逸らした。
ってかパンツのベルトが…見えてますケド…
ハプニングとは言え、昨日腰を直に触っちゃったから。
「あ、あたしは戒を起こしに行こうかな~…」
視線を泳がせて、あたしは逃げるように台所を飛び出た。