。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「なんかあたしたち探偵ぽくない??♪」
「そうだな。あたしたちはディテクティブ(スペル:detective←朔羅は分かってないと思います)探偵だ」
「ディテクティブ…朔羅が英語!?」
「ふふん♪たまにはあたしもデキるとこ見せないとな」
「でもディテクティブって、“刑事”って意味もあるんじゃない??」
「へ??そーなの!」
知らなかった~
てかそんな豆知識(?)なんて今必要ねぇ。そんなくだらない会話をしてたらタチバナを見失っちまう。
あたしは慌ててリコの手を引いた。
タッパがあるからな、それに、かなり目立つ容姿をしてるし。そう簡単に見逃すこともない。
そう思っていたが、
タチバナとお兄さんが大きな映画館に入っていくところを見て、その考えが甘かったことを知った。
映画館の受付ロビーには上映予定(今現在されているものも含めて)の映画が電工掲示板にずらりと並んでいるのを見てあたしは目をまばたいた。
上映場所だけでも十以上はある。
てか男同士で映画館て、色気ねぇな。
カウンターでチケットを買っているタチバナの姿をじっと睨んでいても、どの映画を観るのか皆目検討もつかない。
遠くの方で苛々とその様子を見ていると、二人は上映ゲートの向こう側に消えていった。
無防備~なお兄さんの背中を急かす様に押して、ゲートをくぐろうとしていたタチバナが僅かに振り返る。
口元にはこっちを挑発するような淡い笑み。
くっそ~~~!!
あいつ、気付いてたってんかよ!あたしを挑発しやがって!!!
「どうする?朔羅…」
リコがちょっと不安そうにあたしの腕を引き、
あたしはちょっとため息をついた。
あいつがあたしたちの尾行に気付いていたとなると、早々簡単に姿を現しそうにもない。
「ディテクティブごっこは終わりだ。諦めよう。ごめん、リコ付き合ってもらって」
結局そう結論を出したあたし―――
タチバナの正体は掴めず。
あたし何してんの。