。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ドクターはあたしの手に握られているパンツをちらりと見て、
てか今日はメガネなし。いつもの白衣姿じゃなくまたも爽やかお洒落お兄さんスタイルで、髪もラフにセットしてあるし。
別人を見てるみてぇだけど、
「こんな場所でお会いするとは。フフっ」
意味深そ~に笑うその喋り方を聞いて、いつも通りのドクターだぜ、とちょっと視線を泳がす。
「やぁ小悪魔ちゃん。まった会ったね」
とタイガがリコに敵意を含んだ笑顔を向けている。
「今日は朔羅とデートなんです。羨ましいでしょ」
とリコもタイガに敵意を返してあたしの腕をぎゅっと抱き寄せる。
んべ~
リコが舌を出してあかんべをすると、「むぅ!僕だってうさぎちゃんと試写会行く約束してるもん!」
とこっちもあかんべをしてリコにガン垂れている。ってかいい大人が女子高生相手に張り合うなよ。
ああ、もう…何でこんなときにこんな奴らと出会うかなぁ。
あたしは自分の運の悪さを呪った。
「てか、二人は何してんの?まさかデー…」トと言い切る前に、ドクターが遮るように手を挙げた。
「今日私は非番でして。元々買い物に来る予定ではあったのですが、恵一が勝手にくっついてきたと言うわけであります」
デートじゃありません。ドクターの目は真剣さを物語っていた。否定オーラ全開だ。
「ふ、ふーん、そうなんだぁ。てか仲いいなお前ら」
「だって幼馴染だも~ん。衛は僕の射程外だよ」
「射程内にされても困る」とドクターが無表情に答える。だけどそのそっけない返事にもめげずにタイガは勝手に説明を続けた。
「僕は今度の試写会に行くときのネクタイを選びに来たんだ。
ヒヨコちゃんとひつじちゃんも一緒だしね♪お洒落しなきゃぁね」
いや、そんな気遣いしなくていいよ。
ってか、こいつらも幼馴染…かぁ。
ほんっと嫌な組み合わせだぜ。