。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。

秘書!?



◆ 秘書!? ◆


―――


その週の週末―――…土曜日のことだった。


バイトへ行こうとしていたあたしが洗面所で髪を梳かしているときだった。


「朔羅さ~ん♪」


ぴょこっと顔を出したメガネの声の戒がにこにこ。


無邪気な笑顔が可愛い……ケド裏がありそうで何か怖い。


「今日バイト一緒に行こうよ~」


戒はにっこり笑ってあたしに近づいてきた。


「何だ、そんなことかよ。ってかおめぇ時間ずれてんじゃねぇか。あたしの一時間後だろ?」


「控え室で雑用でもしてるよ。一緒に行こうぜ♪」


いつもの声に戻ると戒はちょっとかがんであたしの耳元で囁いた。


「それにちょっと話したいこともあったし」


「何だよ話したいってことってのは。ここで言やぁいいだろ?」


短気なあたしはせかせかと髪を梳かしながらも、戒を放置して毛先で絡まった髪に悪戦苦闘。


「昨日ちゃんと乾かさなかったからか?」


強引に櫛を入れていると、戒は櫛をあたしから奪ってあたしの髪の先を手に取った。




「無理やりやったら痛むって。お前せっかくきれいに伸ばしてんだから」




戒はあたしの髪の先に丁寧に櫛を通した。


長い睫を伏せて、あたしの髪を握りながら真剣に髪を梳かしてくる。


まるで繊細な糸をつむぐようなその手付きは優しい。


「ほら、ほどけたぜ?」


にこりと微笑むと、戒は目を伏せてあたしの髪にちゅっとキスを落とした。





「俺は朔羅の髪の先まで全部好き。全部俺のものだからな」





髪にキスしながら戒は目だけを上げてくる。


ドキッン!!!



「Yes!そのとーりでございます!」






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