。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
あ、朝から戒の、濃厚な口説き文句にあたしは一発KO。
こ、これは……
この状況だったらこのままチューしてもいいよな。ってかしたい。
「……戒…」
きゅっと戒のシャツの裾を握ったときだった。
「お嬢!!」
マサの緊迫した声が聞こえてきて、バン!洗面所の扉がノックする間もなく急に上げられた。
「「やべっ!」」
あたしと戒は慌てて体を離して距離を開ける。
『メガネ!おめぇまたお前はお嬢のところに!』
と怒鳴られるかと思ってたけど、
「お嬢…大変です!会長と鴇田の旦那がいらしゃってます!!」
マサは緊迫した迫力のある表情であたしを見てきた。
叔父貴と鴇田……?
まぁ二人が揃って顔を出すなんて珍しいことで、
何かあったのだろうか。
ってか叔父貴―――……
花火大会以来だ……
でも鴇田も一緒ってことは個人的な用件じゃないだろう。
「お嬢とメガネ、それからキョウスケに用があるみたいで」
あたしと戒と、キョウスケ三人に叔父貴と鴇田が?
あたしと戒は顔を見合すと、
「何や?」
と戒はさっきの柔らかい表情から一点、視線を険しくさせて出口の方を睨んだ。
「行こう」
あたしは戒の手を引いて玄関口に向かった。
「会長、鴇田の旦那。お茶でもいかかですか!」
と、タクが緊張度120%で顔を青白くさせたながら奥を促している。
玄関口に立った叔父貴と、鴇田は―――
あがりがまちの向こう側で、優雅に腕を組み迫力ある立ち居姿であたしたちを迎えてくれた。