。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「相変わらず仲が宜しいようで」
鴇田はいつもの涼しい笑みを浮かべて、嫌味ったらしく言ってきた。
あたしは、はっとなって慌てて戒から手を離す。
「タク、今日は家にあがらん。お前も下れ」
タクに短く命令すると、
「へ、へい!!」とタクは慌てて廊下の奥に走っていった。
叔父貴は……叔父貴とは―――
青龍会本部で言い合いして以来だ。
どんな顔すればいいんだろう。
何を話せばいいのだろう。
そんなことを考えながら俯いていると、
「朔羅、久しぶりだな。いい子にしてたか?」
と、叔父貴はいつも通りの口調で聞いてきた。
叔父貴……普段通り…まるで、何もなかったかのよう…
どうしよう…何か返さなきゃ…
一生懸命考えたのに、出てきた言葉は、
「ほ、本日はお日柄も良く!」
叔父貴と鴇田、それから戒は同じように目を丸めて
「「「はぁ?」」」と声を揃えた。
ギャァ!!あたし何言ってんだよ!
結婚式じゃあるめぇし!!
それでも驚いたのは一瞬だけで、
「お日柄良くって結婚式じゃあるめぇし」
と戒はくっくくと笑いを堪えているし、叔父貴は
「相変わらずだな」と僅かに微笑んでいる。