。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
しんと静まり返った、この妙な空気に耐えかねて、あたしが口を開いた。
「あ、あの!」
ちょっと運転席を覗き込む感じであたしが言うと、
「どうしました?」
とキリさんがミラー越しであたしに聞いた。顔にはにっこり笑顔。
あたしはその造ったように完璧な表情を見つめて、聞いた。
「鴇田と結婚するって本当ですか!」
キリさんが虚を突かれたようにメガネの奥の瞳を開く。
「「は!?ほんま!」」
一方の男陣は、声を揃えてあたしを注目した。
「誰かから聞いたのですか?噂が早いですね」
キリさんは隠すつもりなんてないのだろうか。ちょっと苦笑を漏らした。でも否定はされてない。
「マジで!あいつと、このお姉さんが結婚!?」
戒はまだ衝撃を受けたままの表情でキリさんとあたしとを交互に眺める。
「てか誰に聞いたんだよ、そんな話。そんなおもろい話、はよ俺に教えてや」
「おもろいって、おめぇ絶対それをネタにあいつを苛めるんだろ」
「当たり前やん。あいつには痛い目に遭わされてんねんで」
戒……この様子だったらマジでやりそうだ。