。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
母さん……?
何でこの人が母さんのこと……
鴇田が喋ったのか?ってかあたしのこと喋るほど、あいつあたしのこと考えてねぇだろ。
「会長から伺いました。会長のお姉さまであられたお方ですよね」
あたしは疑問を口にしてないのに、キリさんは先回りして答えてくれた。
「あ……そう…ですか。叔父貴から…」
ってかこの人、そんなこと喋るぐらい叔父貴と仲が良かったんだ。
まぁ叔父貴の秘書を勤めるぐらいだからな。
並の女じゃ無理だろうけど。
ちなみに秘書はキリさんで五人目だ。前任者の四人(全員男、カタギ)は叔父貴と鴇田の恐ろしさに、一日で逃げ出したという噂。
うち三人は精神病院通いだそうだ。
キリさんは前を向いたまま、またも聞いてきた。
「朔羅さんは亡くなったお母様に良く似ておいでだとか」
「あ、はい。良く言われます」
「写真で見たんですけど、めっちゃ美人ですよ♪」
と、戒がご機嫌にキリさんを見て、
「でも似てるのは顔だけですぅ~、中身全然違うって。朔羅の母ちゃんは上品でおしとやかだったみたいです♪」
おい!あたしは上品でしとやかじゃ……ねぇな。
戒の言葉に否定できないあたし。
「朔羅さんの性格はきっとお父様に似たのでしょうね」
キリさんが少し声を低めて色っぽく笑ったから、あたしは思わずミラーを見上げた。
ミラーに写ったキリさんは、赤い口角を色っぽく上げて、目を細めていた。