。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
何だろう…
口元のほくろもあってか、エロっぽい…
じゃなくて、色っぽい!
戒ママの鈴音姐さんや、ドクターの女彩芽さんは
それぞれに美人で色っぽくて、上品で。
あたしも大人になったらあんな風になれるかな~とか思ったことあるケド。
この人の色気はたぶん一生身につかないだろうって思える。
隣で戒も
「何かエロ……教師とか、女医とか?♪そんなん似合いそうだよな~」
「お・前・は!!(怒)どーしてそっちの方に行くんだよ!」
小声で怒鳴っていると、前の席で今まであたしたちのくっだらない会話を黙って聞いていたキョウスケが、
すっ
ギアを握っていたキリさんの手に、自分の手を重ねた。
きょ、キョウスケ!!
まさかその気になっちまったのか!?
こ、こんなとろこでナンパ!?
ドキドキしてキョウスケの横顔を見たけれど、相変わらず無表情で
「前、向いてください。余所見してたら危ないです」
低い声でそっけなく呟いて、またもすっと手を引っ込めた。
キリさんは、キョウスケを興味深そうにちょっと目を細めて見たが、
「ごめんなさいね。気をつけますわ」
と言ってすぐに前を向いて運転に再び集中した。
キョウスケ……?
何だかキョウスケは意図的にこの話題から逸らすために、キリさんの気を引き付けたみたいに思えた。
でも何でそうしたのかが分からない。
あたしにお母さんが居ないことに気を遣って、とかそんな風には見えなかったし。
キリさん。
それにキョウスケ
一体二人……何だって言うんだよ。