。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
俺の拳が龍崎 琢磨の頬を正確に撃ち、龍崎 琢磨が殴られた勢いで扉に背を打ちつけた。
「て…めぇ。何しやがる!」
龍崎 琢磨は切れ長の目を険しくさせると、殴られた際に切ったであろう口元の血を乱暴に手の甲で拭った。
すぐに龍崎 琢磨の強烈な右フックが飛んできて、俺はそれを寸でのところで避けると窓ガラスに龍崎 琢磨の拳がめり込んだ。
ガシャーン!
ガラスが割れる派手な音がして、龍崎 琢磨が僅かに拳を振るとガラスの破片と血の飛沫が床に落ちた。
「何!?どうしたの!」とフィッティングの向こう側で朔羅の声が聞こえた。
「戒!どうしたんだ!?そこに居るんだろ!!」
「戒さん!?どないしはったんですか!」
響輔の声も聞こえる。
「龍崎様!いかがされました!?」とスタッフの緊迫した声も。
ドンドン扉を叩く音が聞こえて、俺は
「大丈夫。ただの親子喧嘩や」
と返した。
「どこ見てやがる!」
龍崎 琢磨の肘が飛んできて、狭い室内で避けることもできず、まともに腹に入った。
思わず腹を押さえて腰を曲げて膝をついた。
ゲホッ、ゴホッ!
それほど勢いをつけてないように見えたのに相当な威力だ。
たったの一撃で……
腹に受けたダメージが肺にまで達しているようで息苦しい。むせあがるような息苦しさが喉をせり上がってくる。
さすが黄龍の名はダテじゃないようだ。
「てめぇ、やりやがったな」
それでも俺は腹を押さえたまま龍崎 琢磨を見上げると、
「おめぇとは一回やりおうてみたい思うてたんや」
俺はそのままの姿勢で払い蹴りを食らわせてやった。
龍崎 琢磨がバランスを崩したの一瞬の隙をついて、俺はそのまま膝を折り曲げ
「やられた分、きっちり返させてもらうで!」
思い切り龍崎 琢磨の鳩尾に膝蹴りをお見舞いしてやった。