。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
確かに鳩尾に入った手ごたえを覚えた。龍崎 琢磨も腹を押さえて腰を折りながら、小さなうめき声を漏らしている。
苦しそうに目を細めて俺を見上げてきて、
「……貴様…」と忌々しそうに呟いた。
「戒!どうしたんだよ!一体何してんだよ!!」
「戒さん!」
扉を叩く音が聞こえて、朔羅と響輔が呼びかけている。
俺はそれに答えず、
「おらっ!これで終わりか!」
龍崎 琢磨の襟を掴むと、もう一発膝蹴りを決めてやった。
龍崎 琢磨は俺の攻撃で扉に体を打ちつけ、その瞬間鍵が壊れたのか、ドアが向こう側に壊れ、勢いをつけたまま俺たちはフィッティングの向こう側に転がり出た。
「戒!叔父貴!?」
瞬時に脇に退いたんだろう。響輔に支えられた朔羅が目を開いて俺たちを見下ろした。
「何してはるんですか!」
響輔も驚きを隠せないでいるみてぇだ。
「会長!」鴇田も何事か駆けつけてきて、秘書のキリさんは驚いたように口を覆っている。
「どこ見てやがる!喧嘩に余所見とはいい度胸だな!」
龍崎 琢磨の強烈とも言える拳の先を視線の端に捉えたのは、ほんの一瞬で
次の瞬間、俺の頬を龍崎 琢磨が打っていた。
「戒!」
「戒さん!」
後ろに吹き飛ばされそうになった俺を朔羅と響輔が支えてくれる。
俺は二人の手を乱暴に払って、口の中に溜まった血をちょっと吐くと、龍崎 琢磨も同じように顔を僅かに横にそらせて血のりを吐いた。
互いにこんな状況久しぶりだと言わんばかりに口元を拭い、
「てめぇ、ぶっ殺してやる!」
先に俺が体勢を立て直して構えると、
「それは俺の台詞だ、クソガキ!」
と龍崎 琢磨も拳を構える。
俺たちはそえぞれ拳を構えて対峙した。