。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「よりによってお嬢の前で我を忘れて喧嘩するなんて」
とキョウスケはいつも以上に冷たくそっけなく言うと、ため息を吐いた。
冷たい……んじゃなくて、ちょっと怒ってるんだろうな…
あたしは怒ってないけど。二人とも怪我してるとは言え無事だったわけだし。
ただ
あたしは戒が何で叔父貴を殴ったのか理由を知りたかった。
別に怒ってないし、びっくりしたけど、
でも
向き合って話さなければ、何も解決しないよ―――
「でもまぁ人にはペースってものがありますしね。少し時間をあけてクールダウンが必要です。
今はそっとしておいてあげてください」
キョウスケは怒りを静めるように、無理やりと言った感じでちょっと苦笑を浮かべた。
まぁ付き合いが長いキョウスケがそう言うならそうしたほうがいいんだろう。
「お嬢。
だけどあの人は意味がなく拳を振るう人ではありません。
会長と何を話されてたのか分かりませんが、
きっと戒さんの逆鱗に触れるようなことがあったんでしょう」
逆鱗―――
龍の一つだけ逆さに生えている鱗。それに触れると死ぬ―――かぁ。
益々二人の間でどんな会話がなされたのか気になったけれど、あたしはとりあえず
待つことに決めた。