。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。








手当てが終わって思い出した。


「ああ!しまったぁ!叔父貴に“龍神社”のことを聞くの忘れたぁ!」


いきなり叫びだしたあたしに戒がびっくりしたように目を丸める。


「龍神社??」


「…うん。お前も行っただろ?境内で中尾組と鉢合わせたはずだぜ?」


「中尾組…?ああ、あの成り上がりの成金組か。


てんで弱っちいの。準備体操にもならなかったぜ。


あいつら全員束になっても琢磨さんの一発にも及ばないぜ?」


と戒はつまらなさそうに口を尖らせて腕を組んだ。


戒……叔父貴との喧嘩をちょっと楽しんでない??


「それよりその神社がどうしたよ」


「うん…実は……」


あたしはキョウスケに話した内容をそのまま伝えた。


そんでもって同じ場所でキョウスケがそのお社を見てないことも。


「そいやぁ俺も見てねぇな。


暗くて分からなかったってのもあるけど。それらしいのは記憶にない」


「……やっぱり……あたし…お社のお化け見ちゃったんだぁ」


顔を青くして俯くと、


「お社のお化けってどんなんよ」


と戒が呆れながら、でもあたしを安心させるためにあたしの頭に手を置いた。


「気になるんなら一度見に行ってみようぜ?俺らが見落としてるだけかもしれないし」


戒が一緒なら―――怖くないかもしれない。


「でも神社ってのは何かイイよな♪俺、したことないからドキドキ」


………


前言撤回


「このバチ当たり野郎!何考えてんだ!」


ドカッ


あたしは戒の腹を蹴り上げて、






「いってーーーー!!」





戒の叫び声が家中に響き渡った。





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