。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
バタバタバタ!
地鳴りのような複数の足音が聞こえて、
「どうしたメガネ!!」
バンっ!
マサをはじめとする組員が揃って顔を出した。
部屋の中央で腹を押さえながらうずくまっている戒。
そしてその前には立ったまま、慌てて足をひっこめようとしているあたし。
あたしたちの図を見て、
「…メガネ、大丈夫か??」壱衣が心配そうに声を掛けて、
「だ、ダイジョウブデス」と戒が涙目になって何とか手を挙げる。
「……やっぱり、俺の言った通りでしょ?」
とタクがあきれ返ったようにマサを振り返り、
「ああ、そうみてぇだな」とマサも額に手を当てている。
「メガネどころかこれじゃ一生嫁の貰い手がねぇかも」と違う心配に切り替えてるし。
「あれ?そういやキョウスケは?」
マサが気付いたようにキョロキョロ。
「風呂じゃねぇっすか?」と壱衣が答える。
「いや、さっきどっか出かけていきやしたよ。ありゃ女だな。女んとこに行ったに決まってる。
メガネの野郎、キョウスケに捨てられたんだ。やっぱ女がいいに決まってる」
とタクが顎に手を当て推理をしている。
―――女……?
あたしと戒が顔を見合わせた。
戒は「知らない」と言う意味で小さく首を横に振っている。
キョウスケは出かけるとき、行き先を告げなかった。
いや、いつも報告してくるわけじゃないし。てかあたしも一々聞かないし。
「おめぇと一緒にするな。キョウスケだって色々あんだろ」
とマサは気にしてない様子。
女―――……
その言葉に嫌な引っかかりを感じた。