。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


薬を飲むのをきっちり見届けると、


「部屋に行きます?」とキョウスケが聞いてきた。


「ん゛ー…いや…今はもうちょっとここに居る…」


ってか動けない。あたしはダイニングテーブルに突っ伏した。


倒れこむ程の酷いものじゃないけど、腹が痛いし重いし、立ち上がるのも億劫だ。


キョウスケも自分の部屋に引っ込んでいくと思いきや、あたしの向かい側に腰を降ろした。


頬杖をついてじっとあたしを見下ろす。


「女性は大変ですね」


「まぁそうだな……」





「でも俺は偉大だと思いますよ、男より。


新しい命を産み落とすのは女性しかできないですからね」





キョウスケはのんびり言って、あたしはその言葉にちょっと目をまばたいた。


キョウスケの口調は、いつも淡々としていてあんまり感情を感じられない。


いっつも何を考えているのか分からないけど、


でもその一言はあたしにいつも影響力を与える力強いものなんだ。


“女”であることに、今更ながらあれこれ考えて悩んでたから、この言葉はあたしにとって嬉しかった。


あたしが“女”じゃなかったら叔父貴もあんな風に悩まないだろうし、悲しい想いをさせることもなかった。


あたしが“男”だったら―――


そんな風に考えていたから…




「フェミニスト響ちゃん。ありがとよ」




恥ずかしくてわざとふざけて言うと、あたしは腕で顔を隠した。




< 41 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop