。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
薬を飲むのをきっちり見届けると、
「部屋に行きます?」とキョウスケが聞いてきた。
「ん゛ー…いや…今はもうちょっとここに居る…」
ってか動けない。あたしはダイニングテーブルに突っ伏した。
倒れこむ程の酷いものじゃないけど、腹が痛いし重いし、立ち上がるのも億劫だ。
キョウスケも自分の部屋に引っ込んでいくと思いきや、あたしの向かい側に腰を降ろした。
頬杖をついてじっとあたしを見下ろす。
「女性は大変ですね」
「まぁそうだな……」
「でも俺は偉大だと思いますよ、男より。
新しい命を産み落とすのは女性しかできないですからね」
キョウスケはのんびり言って、あたしはその言葉にちょっと目をまばたいた。
キョウスケの口調は、いつも淡々としていてあんまり感情を感じられない。
いっつも何を考えているのか分からないけど、
でもその一言はあたしにいつも影響力を与える力強いものなんだ。
“女”であることに、今更ながらあれこれ考えて悩んでたから、この言葉はあたしにとって嬉しかった。
あたしが“女”じゃなかったら叔父貴もあんな風に悩まないだろうし、悲しい想いをさせることもなかった。
あたしが“男”だったら―――
そんな風に考えていたから…
「フェミニスト響ちゃん。ありがとよ」
恥ずかしくてわざとふざけて言うと、あたしは腕で顔を隠した。