。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「…いや、そりゃ助かるけど。ってかおめぇ漂白の仕方とか分かんの?」
洗濯は大抵あたしがやってるし、(野郎どもの下着以外ね)衣類によっては、洗濯機で回せないものもある。
あたしの疑問にキョスウケは軽く肩を竦めて、
「戒さんと幼馴染だと流血沙汰が多くて。慣れてますよ」
と、一言。
なるほど~納得~~!
じゃなくて!!
こいつらって顔に似合わずバイオレンスだな!
「俺、今日は休みだし暇なんで。お嬢は今日もバイトでしょう?それとも休みます?」
キョウスケに聞かれて、あたしは首を横に振った。
「バイトは行く。薬も飲んだし、大丈夫」
体動かしてないと、考えなくてもいいことを悩みそうだから。
「じゃ、白衣は頼むよ」
キョウスケに頼んで、あたしは部屋に引っ込んだ。
―――午後からはバイトに励んだ。
薬も効いてるし、動いているお陰であれこれ考えなくてもいい。
だけど
「朔羅さん、これ3番テーブルにお願いしま~す」
戒はよそ行きの可愛い声で明るくあたしに言ってきた。
厨房の人数が足りなくて、急遽手伝いに入った戒からパフェのグラスを手渡される。
きれいな色をしたパフェを受け取る際に、僅かに戒の指が触れ、
ドキリ、と嫌な音がした。
ほんの少し―――触れただけなのに……
慌てて、ぱっと手を離すと、
ガシャン!
派手な音を立てて、トレーごとパフェのグラスが床に落ちる。
「ご……ごめ!」
目を開いて、戒が触れた場所を庇うように手を押さえる。
戒も一瞬驚いたように目をみはっていたが、
「大丈夫?」といつも調子に戻って、
「すみませ~ん、いちごパフェもう一度作りなおしてくださ~い」
と全然慌てた様子もなく、厨房を振り返った。