。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。

*一結Side*





◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.◆

.。*†*。. 一結Side .。*†*。.



銀座の高級百貨店は平日の夕刻だと言うのに、ショッピングの客で賑わっていた。


渋谷や原宿のギャルショップのような激しいロックや流行の音楽ではなく、ここは緩やかなクラシックが流れていて、客も店員もゆったりと穏やかな雰囲気が流れている。


ゆったりと広い通路の両脇には上品な感じの店がずらりと並んでいる。


きょろきょろと辺りを見渡しながら、


「何で俺があんたの買い物付き合わないかんの」


と隣でジーンズのポケットに手を突っ込みながら、響輔がブツブツ。


「いいじゃない。どうせ暇してたんでしょ」


「暇……どの口が言う!!俺をストーカーしよって!無理やり連れてこられたんやないか!」


響輔が少しだけ語気を荒げて、あたしを睨んだ。


10cmヒールを履いたら丁度身長が並ぶぐらいで、あたしと響輔の視線はほぼ同じ高さだった。


見下ろされてるわけじゃないのに、その迫力に一瞬だけたじろぎそうになって僅かに身を後退させた。


「ストーカーとは何よ。言いがかりよ」


ふん、と顔をつんと逸らすも、ちょっと強引過ぎたか。と思った……


そもそものきっかけは三日前に遡る。





―――三日前、鴇田が事故に遭ったあの日。


あたしはあいつが事故に遭って病院に運ばれたって聞いたとき、


目の前が真っ暗になった。


まるで世界をシャットダウンするように、人生の演劇が幕を下ろす。目の前を暗幕が下りていき、


Game over


狂気に満ちた自分の笑い声を頭の中で聞いた。


だけど一方で……


「……パパ……」


聞いたことのない幼い女の子の声が、弱々しくその言葉を繰り返していた。



聞いたことがないけれど、あれはあたしの声。



小さい頃、欲しくて欲しくて止まなかったその存在。





パパ



ぱぱ




パパ―――!!!








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