。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
びっくりし過ぎて目を見開いていると、
「これから体力使うやつと合うからな。パワー補充だ」
と悪戯っぽく笑った。
「体力…って、また喧嘩かよ…」
あたしはキスされた額を押さえながら、何でもない素振りで叔父貴を見上げた。
「喧嘩に発展するかもな。まぁあいつは何だかんだしぶといヤツだから、大丈夫だ」
しぶとい??益々誰と会うのか気になった。
「それじゃな」
と言って立ち去ろうとする叔父貴の腕をあたしは掴んだ。
「ま、待って!」
あたしが慌てて引き止めると叔父貴がちょっとだけ振り返る。
叔父貴が振り返り、あたしは慌てて叔父貴の腕から手を離した。
「あ、あのさ!こないだのっ!!………花火大会のこと…」
叔父貴が無言であたしを見下ろす。
黒曜石のような漆黒の瞳がすっと細められた。
ぅうわ!怖っ!
って、ビビってる場合じゃない!ちゃんと言わなきゃ!
「あのさっ!あたしは戒と付き合ってて、あいつが好きだし!!お、叔父貴の気持ちは嬉しかったけど、あたしはっ」
一生懸命になって伝えると、叔父貴は睨むように細めていた視線をふいに柔らかくして、
「知ってるって。
俺のことでお前が悩むことはない。
何せ俺が戒に出逢わせて―――俺があいつに導いた張本人だからな。
だけど俺の正直な気持ちは
お前を誰にも渡したくないんだ。
往生際が悪いかもしれないけど―――想うだけなら
いいだろ?」
叔父貴の視線はあたしを怖がらせないように優しく柔らかかったけれど、その中に悲しみが揺れていた。