。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


「話が分かる女で良かったぜ」


俺は姿勢を正して同じように真正面から彩芽を見ると、


「できればこんなことをしたくないが、スネークを葬り去る為いたし方あるまい。


本来は敵同士である俺たちが手を組めば、ヤツを仕留めることができると思わないか?


彩芽、あんたは望んでいた龍崎組の膿(ウミ)を一掃できる。


コカインの不法所持と言うおまけもついてな」


そこまで言って俺はタチバナに視線を移した。


「お前は日本一の殺し屋、スネークを捕らえることができる。


こちら側のメリットとしては、青龍と白虎の協定が結ばれる前に邪魔者を排除したいのでね」


タチバナはまたも「ふん」と息を吐き、それでもほとんど迷うことなく


「利害一致ってわけか。お前と手を組むことになろうとはな」


と言い切った。


「こちらも同意見よ。畑中組についてはここ何年も追っていたことだしね。しかも畑中組のコカイン入手経路にはスネークが関わっている。


野放しにはできないわ」


二人の答えを聞いて俺は口元に笑みを浮かべると上着の懐からまっさらな紙と筆ペン、それから小型のナイフを取り出した。


自分の名前“龍崎 琢磨”と筆ペンで書くとナイフの先を親指に走らせた。




「血判書だ。


これがある限り、裏切りは“死”を意味する」




名前と血の拇印で署名した紙をタチバナに滑らせると、





「なるほどな。



“血の契約書”か―――



用意のいいヤツだぜ」





と同じように名前を書き、傷をつけた親指を名前の下に押し付ける。


同じく彩芽も親指にナイフをの先を親指に当てながら、


「私を襲おうとしたのは、あなたのパフォーマンス?私を脅そうとするのが目的じゃなく、これだったのでしょう」


と言いながらも血判書に指を押し当てた。





これで一時的と言え―――俺たちの間に協定が結ばれたことになる。






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