。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「スネークの行動には意味がある。常に意味不明なお前と違ってな」
とタチバナを見ると、
「俺だって常に意味を持ってだな…」
と、またも話しが違うところへ逸れようとしていた。その軌道修正をするかのように彩芽が僅かに身を乗り出す。
「まぁ畑中組がパクられたときに、聞き出せばいい話しじゃない?
そのためには誰一人として死ぬことなく、生きて警察に引き渡さないと意味がないわ」
「それは難しい話だな。スネークが生き証人である畑中組の構成員を見逃すはずがない」
俺が二人を眺めると、二人とも口をつぐんだ。
少しの沈黙が流れ、やがて彩芽の方が口を開いた。
「だから朔羅ちゃんたちの力を借りたいのよ」
彩芽の言葉に俺が目を開いた。
「カジノは毎週水曜日の深夜0時から。私とタチバナくんは面が割れてるから入ることができない。
でも彼らなら?何の警戒もなく入れてくれるわよ。向こうはいいカモだと思って食いついてくるんじゃないかしら」
彩芽の言葉に俺は眉間に皺を寄せ、彩芽を睨みつけた。
「朔羅を囮に使うつもりか。お前たちは最初からそのつもりで戒に近づいたんだな」
俺は正座していた脚をくずして、一歩前に進み出ると慌ててタチバナが俺の腕を掴んだ。
「リュウ!彩芽さんは何も悪くない。俺が提案したんだ」
彩芽は俺の睨みにも動じず、まっすぐに俺を捕らえてくる。
「早くも仲間割れ?こんなんじゃスネークを見つけられないわよ。遅かれ早かれ朔羅ちゃんたちはヤツの餌食になる。
現に衛さんの病院で狙撃されたわけだし」
彩芽の言うことは的を射ていて、俺はそれに何も返せず大人しく元の場所にあぐらを掻いた。