。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
胡坐を掻いて肘を突くと、
「今のところ青龍会と白虎会のどの組にも大きな金の動きはない。雇ったのは両組織じゃない」
「引き続き調査させろ」
タチバナは俺に命令してきて、俺は顔を歪めた。
「言われなくてもそのつもりだ」
「早く突き止めないと、スネークに私たちがいっときとは言え手を組んだことが知れると、この作戦は使えないわ」
「ああ、時間との勝負だな。この話は内密に。
たとえ身内であろうと俺たちの関係を知られるな。俺は鴇田にもこのことを言わないつもりだ」
俺が念押しすると、
「誰が疑う。俺たちは宿敵同士だ。手を組むなんて発想に行き着くはずがない」
とタチバナが呆れたように目を細めた。
「それもそうだが。白虎のガキどもを甘く見るな。
ヤツらは僅かな痕跡を辿って、いずれ真実を見つけ出す。
常識に凝り固まった俺たち大人よりも頭が柔軟だ。
そうなったら厄介だ」
「まぁ確かに。何を考えてるか分からない節はあるわよね?
得に戒くんの方は」
彩芽は吐息を付き、それでもちょっと楽しそうに朗らかに笑った。
「まぁスネークの本当の狙いが分かっていない今は、白虎にも注意を呼びかけて警戒を強めるが」
厄介なことになった。緊急の幹部会を開かなくてはな―――
俺の考えを遮るように彩芽が問いかけてきた。
「ところで、手を組んだはいいけれど、連絡はどうするの?ケータイのメールや電話は盗聴やハッキングの恐れありよ」
そこが難しいところだ。
「伝書鳩でも飛ばすか?原始的に♪」
とタチバナが楽しそうに提案してきて、
「原始的過ぎるだろ!お前はもっと危機感持て!」
今更ながら―――俺が手を組んだ相手は、果たして正しかったのか。
と、ちょっと後悔…