。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
着信音はすぐに消えた。どうやらメールの報せらしい。
「あら。マサさんからだわ」
「は?マサぁ??なんであんたがマサの番号を知ってる」
俺が探るように目を上げると、
「こないだお宅にお邪魔したときに聞かれたのよ。可愛いわね、マサさん。顔を真っ赤にして」
ちっ
俺は舌打ちをした。
マサのヤツ……今まで朔羅の子守をしてきて女気がなかったが、朔羅がようやく手が離れようとしているときに、こんなわけが分からん女を好きになりやがって。
「マサさんなら教えてくれるかしら。あなたが飼ってるスパイのことを」
彩芽がメールを読みながら楽しそうに笑う。
「マサは何も知らねぇ。スパイはあいつじゃねぇよ。って言うかあんた、衛の恋人だろ?
二股掛けてんじゃねぇだろうな」
疑わしい目で彩芽を睨むと、
「すみません、先輩。こいつ見かけによらず潔癖のところがあるんですよ」
とタチバナが勝手に俺の性格を説明してるし。
「ご心配なく。二股なんて掛けてないわ。
ただ―――利用できるものは最大限利用する。これが彩芽クオリティーなの♪」
どこかで聞いた台詞だと思ってタチバナを見ると、
「俺様クオリティーでもある♪」とタチバナは楽しそうに笑った。
この先輩にこの後輩あり、か。
マジで選択をまずったかも。
「仲良くしよう、リュウ♪」
「仲良くしましょう、琢磨サン♪」
いや、“かも”じゃない。
今はっきりと―――俺が自分自身の選択に誤りがあったことに
気付いてしまった。
気付きたくなかったよ!ちくしょうめ!!
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