。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
宿題も途中で切り上げて、あたしは戒より一時間早く入ってるバイトに向かった。
最近ではすっかり慣れて、とり立てて大きなミスもなく仕事をこなせるようになった。
飲食業だからか?楽しいし♪
それでも…
「朔羅ちゃん、朔羅ちゃん」
おネエ店長に呼ばれるとやっぱドキっ。
あたし、何かやらかしたか??なんていつも悪い意味でドキドキ。
やっぱ戒よりもあたしは使えないし、ミスは減ったと言ってもまだまだ細かいところで間違えるし。
だけどミスの指摘じゃなくて、
「夏フェア?」
おネエ店長は頬に手を当て首を傾ける。
「そうなの。夏だし期間限定メニューを考えたいんだけどね、何が女性客にウケると思う?
あんた現役の女子高生だし、私とは感性が違うかと思って」
なんだ、そんなこと……
と言ってもあたしだって流行りのことに詳しいわけじゃねぇし。
「学生が夏休みで、お盆も近づいてるでしょ?メニューじゃなくても女性ウケするサービスでもいいからちょっと考えてくれない?」
そうにこにこ言われて…
いや、どっちかって言うとあたしは男寄りだから、その辺分かんないです。とは
言えねぇ
仕草とか?店長の方がよっぽど女らしいし。
それでも
「すみませ~ん」
と客からお声が掛かると、
「はい、ただいま!」
キリっ
元々イケメンな方だと思う、おネエ店長は声のトーンを2トーンも落として、男モード全開で客に笑顔を向ける。
あれだ……楽○ンゴみてぇ。(顔は似てないけど)
「じゃ、朔羅ちゃんお願いね~♪」
とウィンクして客の所に向かっていくおネエ店長。
お願いね、と言われてもなぁ。