。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
思わずそいつの腕を掴みもがいたが、でもぴくりとも動かない!細腕なのに結構な力だ。
あたしは握ったままの拳を振り上げ、今度は肘を折り曲げると勢いをつけて、そいつの鳩尾に肘鉄を食らわせてやった。
「ぐっ…」と男が呻いて背中を丸め、あたしの口を覆っていた手を緩める。その隙をついて身を沈めると、腰を捻りながら振り返り、今度は回し蹴りを食らわそうとした。
だが男が
「ぅわ!待ってよ!」と慌てて言いながらも、あたしの蹴りを寸でのところで避ける。
「待ってられるか!この変態!!」
男の腕を捻り上げて、後ろを向かせ肩を掴むと
「いっ!」“た”と声を出す暇も与えず、
バンッ!
勢いをつけてロッカーにそいつを押し付けてやった。
「……う、うさぎちゃん……相変わらず激しいね…」
と、ロッカーに顔を押し付けられた
―――変態タイガ
が、そろりと振り返り、涙目であたしを見下ろしてきた。
「何しに来やがった、この変態。今度は覗きか?」
ロッカーに押し付けたまま聞くと、
「そんなに怒ったら可愛い顔が台無しだよ~」
タイガは涙目になりながらも両手を挙げて無理やりにこにこ。
へらへらしてっけど、あたしはすぐ背後まで迫った気配にまったく気付かなかった。
こいつ―――……
あたしが警戒したようにタイガの腕に込めた手に力を入れさらに捻りあげると、
「痛っ!痛い痛い痛いーー!!」とタイガがみっともなく喚く。
「正直なこといいな。覗きだろ」
あたしが声を低めると、
「…の、覗きじゃないよー。ウサギちゃんをデートに誘いに来たんだ」とまたも無理やり笑う。
デート?