。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「デート…?ってかここスタッフの控え室だけど!どうやって入ったんだよ!」
警戒心を露にしながらタイガに凄むと、
「どうやってって?店長さんが入れてくれたよ?『朔羅の兄ですぅ』って言ったら、ここで待っててください、って」
おい!おネエ店長!身分も確認しないで、簡単に人を入れるなよ!!
不審者だったらどーするんだよ!
てかこいつ自体、不審者だっつぅの!!
「ホントに僕はうさぎちゃんをデートに誘いにきただけだって」
「戒とキョウスケはどうしたんだよ、諦めたのか?同時進行なんてふざけたこと言ってっと、ぶっ殺すぞ」
腕に力を入れると、
「ど、同時進行じゃなきゃいいの?」
と聞いてくるタイガ。口の端がにやり、と言った感じで釣りあがった。
は!
あたしとしたことが、こいつに変な口実を与えてしまった!!
思わずうろたえて腕の力を緩めると、タイガはささっと移動してロッカーに背をつきあたしに向き直った。
「さすがの僕も三人同時進行ってのは無理だよ~。一人で充分♪
だからターゲットをうさぎちゃんに絞ったのさぁ。
ヒヨコちゃんとヒツジちゃんは可愛いけど、結婚するには支障があるしね~」
ターゲット…
ってか結婚って!
あたしだってこんなヤツと結婚なんてしたくねぇよ!
と心の中で喚いていると、
タイガは口元にニヤリと笑みを浮かべて、スーツの上着に手を差し込んだ。
「君は“行く”って言うと思うよ?
これを見ればね」
低く言われて、あたしは目を開いた。