。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
きっぱりはっきり言ってやると、
「……分かったよ…」とタイガはあっさりと離れて、しゅんと項垂れる。
指輪効果あり??
よしっ!と意気込んでいると、
「でも指輪じゃなかったら、僕が何を取り出すと思ったのさ~」とタイガはまたも立ち直り早く口を尖らせている。
ってか指輪を想像することの方ができねぇだろ。
「あたしは一瞬ハジキを取り出したかと思ってだな…」ぶつぶつ言ってると、
「ハジキ?大丈夫、僕は持ち歩いてないよ~♪組長や会長みたいに野蛮じゃないからね。
僕、平和主義者なんだ♪」
平和主義者…ねぇ。
ヤクザだからか??説得力ねぇっつの!
ブツブツ思いながらも、ここは早く帰り支度をしてとっととずらかるしかねぇ。
と決め込んでロッカーを開けようとした。が、
「てめぇのせいでロッカーがへこんでんじゃねぇかよ」
「え…それは僕じゃなくてうさぎちゃんが…」
「つべこべ言うな。あたしゃ気が立ってんだよ!怪我したくなきゃ消えな」
そう言って威嚇するも、
「じゃぁこれでどう??」
タイガはあたしの睨みにも動じず、マイペースに絆創膏をロッカーにペタリ。
「ごめんなさい」と謝ってるし。でもすぐに戻ると、
「ねぇ行こうよ~」
とタイガはあたしの目の前でちらしをひらひら。
「何だよ、諦めたんじゃねぇのかよ」
「すぐには諦められないよ~。ねぇ行こうよ~♪」
としつこい。
それでもそのちらしがちょっと気になって、ちらりと横目で見ると、
ピンク色をしたかき氷の上に、カットされたいちごがたくさん乗せられていて、山になったかき氷の上に生クリームが乗ってる。
「何、これ!!超うまそう!!」
ヤバイ…あたしのツボじゃねぇか。
バイトの後だから腹減ってんし。
「じゃ、決まりね♪」
タイガにぐぃーと手を引かれて、
「えっ…ちょっと!」と喚くも、
あたしは強引に裏口から連れ出された。