。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
*戒Side*
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** 戒Side **
朔羅がバイトに出かけると、入れ違いに響輔が帰ってきた。
「ただいま、です」
響輔は言葉も少なめにどんよりと暗いオーラを引きずりながら、部屋に入っていく。
まさに“負!”そのもの。
「何だぁ、あいつ。女にフられたか~?」とタクさんは気のない様子だったが、俺は響輔が無事そうで、とりあえず一安心。
あいつ精神的にはキてそうだけどな。
響輔の部屋に行くと、響輔は部屋の中央でうつぶせになって寝転んでいた。
顔をこっちに向けていて、俺が入ってくるのに気付くと僅かに視線を泳がせる。
「響ちゃん♪」
秘儀!天使スマイル!
も付き合いの長い響輔には通じないようで、響輔は顔ごと俺から逸らした。
「どうして昨日電話出なかったんだよ」
不機嫌に言って俺は響輔の背中をぎゅっと脚で踏みつけると、
「痛っ。すみません、出られない状態だったので」と響輔が小声で答えて、欠伸をもらす。
その横顔に疲労がにじみ出てた。たった一日でお前やつれた??
「眠……俺、昨日ほとんど寝てないんです。…疲れたし。説教なら起きたときにお願いします」
響輔はちょっと手を挙げて、目を閉じる。
「俺バイト行かなきゃいけねぇし。今言え」
俺は響輔の腰の位置に跨って腰を降ろすと、
「相変わらずな俺様っぷりですね」
と言って響輔は迷惑そうに顔をちょっと振り返らせた。
「何があったんだよ」
それでも怒りより、疑問の方が勝って俺の声音はいくらか穏やかだった。
響輔は諦めたように吐息をつき、前を向いたまま顔の前で腕を組むと、
「何って…ちょっとハジキ向けられて、服奪われて、
何故か添い寝を強要されたってところでしょうか…」