。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「まぁ鴇田の野郎は怖かねぇけど、いけすかねぇヤツには間違いねぇよな。あたしアイツ嫌い」
「知ってるよ~だけど僕のことも嫌いにならないでね♪」
タイガはあたしの向かい側でにこにこ。
嫌いも何もよく知らねぇし。苦手なのは確かだけどな。
ま、あの陰険蛇田よりはとっつきやすいのは確かだ。
「うさぎちゃん見て~これスイカがおまけに入ってる♪しかも星型☆」
タイガは柄の長いスプーンでスイカをすくってあたしに見せてくれた。
「わ、ホントだ!可愛い~」
「色もきれいだしね。マンゴーとかキウイとか入れてデラックスバージョンにすればもっときれいだと思わない?」
「それ、いいな♪形もスペードやクローバーなんかにして。夏フェアの参考にしよっと♪」
「オレンジの半切れなんか添えるのも良くない?♪」
………
ヤバイ。
あたし、何こんな話しちゃってんの??なんかすっげぇこいつと意見が合うっての??
楽しいし!
可愛い男の子が大好きってい言う変態野郎なくせして、おネエ店長みてぇな女っぽいのじゃないし。
どっちかって言うと仕草や声は男っぽい。『黙ってりゃ』爽やかだしな。
ワイルドじゃねぇけど、『黙ってりゃ』インテリモテサラリーマンってところだな。
あくまで『黙ってりゃ』の話しだが。
でも“男~”って感じがしねぇのは、こいつが誰かに似てるからだ。
何て言うか若い男、独特な嫌悪感を抱かない。
顔とか雰囲気じゃなくて…この感じ……
う゛~~ん…と考えていると、
「うさぎちゃん、アイス溶けちゃうよ~早く食べないと」
と急かされてあたしは慌ててスプーンを伸ばした。
「はい、大きいイチゴと一緒にどーぞ」コロンとイチゴを手前に差し出されて、
気付いた。
『朔羅~早く食わねぇと溶けるぞ?』
こいつ―――
千里に似てるんだ。