。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「「―――――…は?」」
二人は同じタイミングで声を挙げて、互いに顔を見合わせていた。
「だぁかぁらぁ!覚えてんだろ?ちょっと前、お前が急性胃炎で御園医院に運ばれて、
そのとき襲ってきた男だよ」
「…あ、ああ。覚えてるけど」
「でもあの男はタイガさんじゃなかったですよ」
「タイガじゃねぇのは間違いないけど、でも仲間って可能性はありじゃね?」
「仲間―――……」
戒が考えるように口元に手を当てて、目を開いている。
キョウスケも黙り込んだ。
な、何―――…?あたし変なこと言った??
「そのタトゥーお前の見間違いじゃねぇのか?それかお前の記憶違いか」と戒がちょっと疑うように目を細める。
「ム。見間違いじゃねぇよ。それに記憶違いでもねぇ!」
…と思う。そう言われると自信なくなる。
「だって…病院でもキョウスケが敵に三角絞めをキめてただろ?あのとき手の甲に彫ってあったタトゥー、お前調べてくれたんだろ?」
キョウスケを見上げると、
「ええ。確かに…覚えてますよ」
とキョウスケがぎこちなく頷く。
「今日もキョウスケがタイガの腕を捻り上げたとき、同じ光景だったと思い出したんだ」
戒が目をまばたきキョウスケを見る。
キョウスケは眉間に皺を寄せて、顎に手を置いた。
「お嬢を疑うつもりもありませんが、もう一度今度ははっきりとさせた方がいいですね。
彼らは何者なのかを―――」
「病院で襲ってきたのがタイガの仲間となりゃ、あいつは敵ってことか…?」
そんな感じには見えなかったケド。あたしが独り言を漏らしても、二人とも何事か考えるように目を細めている。
「あいつの仲間―――……?」
戒がぼそりと呟いて、眉間に刻んだ皺を深くさせた。
変態タイガ―――あいつは何か裏がある―――
それは計り知れない巨大な何かを―――思わせた。
敵か味方か―――
味方ならきっと心強いだろうけど、病院で襲ってきたこと自体がその可能性をすでに低めている。
と言うことは――
敵―――…
そうなったらかなり厄介だ。
だけど今はあの変態タイガよりも、タチバナの方が気になる。
あいつ何であそこに居たんだ―――?