。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
~♪か~ごめ、かごめ♪
かごの中の鳥は~
軽やかな歌声が冷たい空気を漂って、どこからか聞こえる。
―――それは―――やっぱり…雪斗の声だった。
あたしは足跡を追った。
走って、
走って、走って……
ひたすら走って
足跡の続く道を追う。
~…♪いついつで~やる~
歌声と混じってくすくす、幼い女の子の笑い声が聞こえた。
やがてあたしの視界に遠目だったけれど、二人の人間の後ろ姿が目に入り、あたしは足を止めた。
ゆったりとした白いフード付きのマントのようなものを着ていて、その裾が風ではためいている。
まるで雪に溶け込むような白い、白い―――
背丈はそれほど大きくなかったけど、マントのせいか体格が分からない。
だからその人物たちの年齢なんかは分からなくて。
でも二人は手を繋ぎながら楽しそうに前を行く。
子供―――……一瞬そう思ったのは、二人を取り巻く雰囲気が無邪気だったから。
雪と同じ―――白い、
白い
「雪斗!」
あたしが呼び止めると、小さい背の方が振り返った。
マントのフードがゆっくりとはずれて、顔が露になる。
見たこともない女の子だった。