。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。





あたしは思わず口元を両手で覆った。






「―――雪斗!?」





フードを外した雪斗はあたしを見つめながらうっすらと笑う。


これは―――幽霊って言うんだろうか……


だって雪斗が居る筈なんてないし―――





ゆ…幽霊……?




分からん。


元々透き通るような色白の肌だし、長いマントで足元が見えない。



幽霊って言うよりも、人形が置いてあるみたい―――





雪に浮かび上がる―――






美しい人形。









怖いって感じはしなかった。独特の嫌悪感も……


まるで純白の絨毯に様々な感情が洗い流され、清められたみたいに。



心の中は虚無だった。




雪斗はあたしが最後に見たときの年齢のまま―――


だって―――雪斗の時は―――“あの日”を境に






止まったままだから。






あたしが





止めた。







「久しぶりだな、朔羅」





雪斗は生前と変わらない柔らかい笑顔で



うっすらと笑った。







< 524 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop