。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
あたしは思わず口元を両手で覆った。
「―――雪斗!?」
フードを外した雪斗はあたしを見つめながらうっすらと笑う。
これは―――幽霊って言うんだろうか……
だって雪斗が居る筈なんてないし―――
ゆ…幽霊……?
分からん。
元々透き通るような色白の肌だし、長いマントで足元が見えない。
幽霊って言うよりも、人形が置いてあるみたい―――
雪に浮かび上がる―――
美しい人形。
怖いって感じはしなかった。独特の嫌悪感も……
まるで純白の絨毯に様々な感情が洗い流され、清められたみたいに。
心の中は虚無だった。
雪斗はあたしが最後に見たときの年齢のまま―――
だって―――雪斗の時は―――“あの日”を境に
止まったままだから。
あたしが
止めた。
「久しぶりだな、朔羅」
雪斗は生前と変わらない柔らかい笑顔で
うっすらと笑った。